阿寒にはいわずもがな、アイヌの皆さんがたくさんいて、自分にとっては聖地巡礼なのだ。
阿寒には去年も行ったが、精神的・知識的に沢山の収穫を得た。
今年もつい先日滞在したのだが、このような口琴を見せてもらったので紹介します。
阿寒においても販売されているのはほぼ100%鈴木さん製作の高品質ムックリ。価格は各店とも税別800円(個人的には来年以降さらに値上げになると予測)。
紐を引かないタイプ(フィリピンの竹口琴スタイル)のムックリは1000円。
ムックリはひとつ1000円だとしても、製作の大変さを考えると安すぎる。
ムックリといえば300〜500円で売られていたが、あれは異常値なのだ。
ところで、「阿寒町で現在もムックリを作っている人はいるのか」が気になった。
聞いてまわったところ、現役は一人しかいなかった(販売はしていない)。
「作り手」は明らかに減っている。
屈斜路湖畔ではどうだろう。
「モシリ」をやっているアト゜イさんのところに行って質問してみたが
現在はいないとのことだった。アト゜イ氏は昔、サビタという木(日本名はノリウツギ)で作ったそうだ。
さて、その現役製作者の方が製作したムックリ(名前は公表して良いか確認しなかったため伏せます)は、特筆に値するのはサビタ製という点。
「鳴り」に関しては竹に大きく劣るが、これはムックリの原点だ。製作者もそこにこだわっている。
第一、平らなムックリにできるほど太いサビタなど現代はめったにみつからない。まず素材が入手が極めて困難だし、奇跡的に売られたとしてもかなり高価。
このサビタを森で収穫したのはもう20年も前のことのようだ。
見せてもらったサビタのなかには細めのものもあったが、
針入れ(チシポ)を作る予定とのこと。
今回、20年乾燥させたというその貴重なサビタの素材を分けて頂いたので、いつか心の準備ができたらば、ムックリに仕上げてみたい。
こちらは同氏が製作した台湾の口琴スタイル。
竹の枠に紐をつけて金属弁を振動させる。かなりのレアモノ。
こんなものまで作ったとは口琴への造詣が相当に深い方。
下は、料理店で見せて頂いた中川はじめ(漢字を聞くの忘れてしまったが故人)氏製作の竹口琴。
もう数十年前のものだ。
これも中川氏の作品。地元ではアニと呼ばれていて、とても器用な人だったようだ。
同氏の作ったムックリは、さすがに「よくわかっている」と唸ってしまう出来だった。
ムックリの製作販売をする人は、仮に私を入れたとしても、知る限りでは北海道で3人。
ムックリの功労者である鈴木さんを含んでの数だ。
1人は若い人だからムックリの将来のために良かったと思うが(ただし多量に作る必要があるからレーザーなどの最新機械も活用してカッティングしている模様)、あと2人は若くない(自分含め)から減っていくだろうな・・・。
サビタ
できあがるまでに途方もなく大変なイラクサ糸。
非売品。もしどこかの店で売っていたとしても自分には買える価格ではないと思う。
観光地にあるシギ子の店
二年ぶりに弟子さんちにも伺ったがお留守で残念...